東京高等裁判所 昭和50年(ラ)199号 決定 1975年5月16日
抗告人
雨谷守国
主文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
抗告人は原決定を取消す旨の裁判を申し立て、その理由の要旨は、「抗告人の妹宏美の配偶者である雨谷大は外四名とともに原沢平八外四名より同人らの被相続人亡原沢マチの交通事故死による損害につき、つの賠償請求の訴訟を提起され、その訴訟は現に前橋地方裁判所沼田支部において昭和四八年(ワ)第八号、同四九年(ワ)第一四号損害賠償請求併合事件として係属中であるところ、右雨谷大は、
(一) その事実関係および責任原因につき争つているが、法律的知識に乏しいため十分な防禦方法を講ずることができないおそれがあつて、その訴訟追行に不安がある。
(二) また雨谷大が右訴訟において敗訴するときは抗告人および前記宏美の母しめ死亡の場合の遺産相続につきその法定相続人である抗告人はその結果につき利害関係がある。」<中略>(というのであるが)補助参加の要件である民訴法第六四条にいう「訴訟の結果につき利害関係を有する第三者」とは、当該訴訟の結果、すなわちその判決の結論につき私法上または公法上の権利関係に法律上影響を受けるという法律的な利害関係を有する者と解すべきところ、抗告人の抗告理由として主張するところは、いずれもたんなる感情的、経済的な事実上の利害関係を有するというのに過ぎないものであつて、いまだ右にいう法律上の利害関係を有する者とまではいえないから、補助参加の理由とはならないものである。そして、他に抗告人につき補助参加を許すべき理由を認めるべき資料はない。
よつて、本件抗告は理由がないからこれを棄却し、抗告費用の負担につき民訴法第九五条第八九条を適用して、主文のとおり決定する。
(安倍正三 岡垣学 唐松亮)